利用者さまに「食事がまずい」と不満や文句を言われ、悩みを抱える老人ホームは少なくありません。食事がまずいと感じられる原因は複数あるため、問題点を見つけて改善していくことが必要です。
今回は、高齢者が食事を食べない理由から、ナリコマのクックチル導入事例、365日食事メニューが変わる献立例や、利用における便利なポイントをご紹介します。
目次
老人ホームの食事はまずいって本当?
「老人ホームの食事はまずい」という利用者さまの声や苦情は、残念ながらさまざまなところで挙げられています。そのため、利用者さまとそのご家族が介護施設を選ぶ際に、食事の評判をチェックすることは多いでしょう。「食事がおいしい」ということは、介護施設選びにおいても重要なポイントです。
食事がまずいと感じる3つのポイント
なぜ介護施設の食事はまずいと言われてしまうのでしょうか。介護施設において食事のトラブルは解決が難しい事柄の一つで、予算や人材不足といった施設の運営状況も影響しています。このような環境面の問題対策は必要ですが、そのためには「なぜ食事がまずいのか?」という根本的なポイントについても押さえておきましょう。
味が薄い
料理の味わいは、食事のおいしさに大きな影響をもたらします。味が濃いまたは薄いなど、それぞれの好みの違いはありますが、味が薄いことに関しては、塩分が制限された減塩食が原因の一つです。一般的に、加齢によって味覚障害が起きることが生理現象としてあります。
普通の食事でさえ味が薄いと感じられることがある中で、さらに減塩食となると味の薄さがより際立ってしまうでしょう。
減塩食では、ただ塩分を控えるだけでなく、調理方法や献立内容を見直し、塩気を控えてもおいしさを感じられる食事にする必要があります。
冷めている
食卓に運んだときにはすでに料理が冷めている、ということも介護施設の食事のトラブルとしてよく挙げられる事柄です。
食事のおいしさでは、料理の温度も大きく影響するため、温かい料理は温かいまま、冷たい料理は冷たいまま食べるのがベストです。
冷めてしまったご飯や、ぬるくなってしまったサラダやデザートなどでは、本来の料理のおいしさを損なってしまうでしょう。
また、料理の温度によって感じられる味わいも変化し、例えば、低温だと旨味が感じにくいといった特徴もあります。食事が冷めているだけで、まずいと感じられてしまう原因につながるのです。問題解決には、スムーズに食事を準備できる運営環境も必要です。
メニューのマンネリ化
最初はおいしいと感じていた食事も、毎日同じものが出てくるとだんだんとおいしくない、食欲が湧かない、と感じることがあるでしょう。
介護施設では特に、一番の楽しみが食事、という意見も多く、生活の中の気分転換にもなる食事は楽しみの源です。そのような環境で、同じような献立が繰り返されることで、ここの食事はまずいと思われてしまう原因となります。
食事内容に、行事食として季節のイベントにちなんだ食事などを取り入れるだけでも解決につながるでしょう。
高齢者が食事をしないと起こるさまざまな困りごと
介護施設の食事がまずいことは、利用者さまの食欲低下につながり、管理栄養士を悩ませるだけでなく、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。直接的に関わってくるのは、食事を拒否されることによる低栄養状態です。食べる量が減ると、摂取できる栄養も少なくなるため、体力の低下につながり弱ってしまう原因となります。いずれは病気を引き起こし、亡くなってしまうケースもあるため注意が必要です。
まずいと思っている食事を無理に食べることは困難なため、食事介助がスムーズにいかないことも困りごとの一つです。ほかには、食事がまずいことから利用者さまのストレスや不満が溜まり、職員やご家族の方とのもめごとにつながることも考えられます。
食事がおいしい老人ホームの取り組み
介護施設によって食事への取り組みは個々に異なるため、一概に老人ホームの食事がまずいということはなく、こだわりを持って提供している施設では、利用者さまの満足度も高く、施設の強みにもなっています。
評判の施設はナリコマを使っている!
「ナリコマ」は多くの介護施設で導入されており、さまざまなお喜びの声をいただいています。こちらでは、実際にご利用いただいた施設の声をご紹介します。
コストの悩みをナリコマで解決
【施設種別:特別養護老人ホーム 規模:100床~200床】
給食委託業者をご利用いただいている中で、委託料が値上げとなり、コスト削減に向けてナリコマをご検討いただきました。従来の委託料や内容と比較しても、大幅にコストカットができたとお伺いしております。
導入後は、利用者さまから「おいしい」「見た目がいい」との感想が増え、利用者さまの笑顔も増えたとのことです。
人材不足の悩みをナリコマで解決
【施設種別:有料老人ホーム/サ高住 規模:~50床】
ご利用いただいていた給食委託業者の急な値上げや、業者変更に伴う内容の変化で利用者さまからの苦情が殺到したことなど、さまざまな苦労を経たのちに、ナリコマを導入いただきました。
将来の人材不足の不安解消に向けて、朝夕の厨房無人化も検討されたうえでの導入です。導入後は、調理がないことによるコスト削減と人材の集まりやすさのメリットがあり、人材不足の解決にもつながり、利用者さまの苦情も大幅に減ったとお伺いしております。
食事内容の悩みをナリコマで解決
【施設種別:介護老人保健施設 規模:50床~100床】
全面委託の厨房運営における、スタッフ不足・過剰労働・コストの上昇・食事内容の低下といった悩みから、直営運営に切り替えたものの食事における複合的な課題を抱える中で、ナリコマを導入いただきました。
直営運営では冷凍食材を活用していたものの、見た目の問題を抱えていたそうです。導入後は、職員が働く環境も大きく改善され、食事の栄養価やクオリティーでコスト以上の評価を感じられているとお伺いしております。利用者さまからも「家庭の味がする」とのお声が届いたとのことでした。
ナリコマの献立例: 365日サイクル「すこやか」
ナリコマの「すこやか」は、365日サイクルのクックチル献立です。
こちらでは、実際の献立例を3日分ご紹介します。

- 【第1日目 朝食】
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- 御飯
- ボロニアソーセージ
- 味噌汁(うまい菜・人参)

- 【第1日目 昼食】
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- お好み焼き(豚肉)
- 高野豆腐と鶏肉のサイコロ煮
- ほうれん草とかまぼこのお浸し
- 味噌汁(さつまいも・白ねぎ)白味噌仕立て

- 【第1日目 夕食】
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- 御飯
- かれいの味噌粕煮
- 大根と豚肉のとろみ炒め
- ブロッコリーの香味ドレ和え
- 茶碗蒸し(鶏肉・枝豆)

- 【第2日目 朝食】
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- 御飯
- 照り焼き風肉団子
- キャベツとしめじの豆乳和え
- 味噌汁(白ねぎ・人参)

- 【第2日目 昼食】
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- 御飯
- ホッケの塩麹焼き
- クーブイリチー[沖縄県郷土料理]
- 大根のごま酢和え
- 味噌汁(白菜・ほうれん草)いりこ風味

- 【第2日目 夕食】
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- 御飯
- 鶏肉のもろみ焼き
- 金時豆煮
- スパゲティーサラダ
- 味噌汁(豆腐)

- 【第3日目 朝食】
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- 御飯
- 5品目具材の玉子焼き
- ブロッコリーと平天の麦味噌和え
- 味噌汁(絹揚げ・しろな)

- 【第3日目 昼食】
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- 筍御飯
- さばの塩焼き
- キャベツとしめじの炒め物
- 味噌汁(大根葉・玉ねぎ)

- 【第3日目 夕食】
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- 御飯
- 鶏肉のやわらか煮
- 大根と小えびの炒め物
- 白菜といんげんの洋風お浸し
- 味噌汁(豆腐)
クックチル「すこやか」の便利ポイント
ナリコマの365日日替わりクックチル献立「すこやか」には、便利なポイントがいろいろあります。介護施設の食事や運営に活かせる特徴がたくさんありますので、ぜひお役立てくださいませ。
365日日替わり&行事食で飽きない食事へ
「すこやか」の献立は、365日サイクルのため、一年を通して毎日飽きのこない食事の提供が可能です。家庭料理に合わせた調理方法で、季節を感じられる食材を使い、行事食はもちろん、郷土料理も登場します。お正月にはおせち、敬老の日には松茸ごはんなど、食事を通して利用者さまに今までと変わらない暮らしをお楽しみいただけることも利点です。
鰹や昆布などから取った出汁を料理に合わせて配合し、和食から洋食、パン、おやつまで種類豊富で、さまざまな側面からおいしさと楽しさを提供できます。
利用者さまのお体に合わせた4つの食形態
ナリコマのクックチルでは、利用者さまの身体能力に合わせた4つの食形態をご用意しています。普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食からお選びいただけるため、嚥下力や咀嚼力が落ちてしまっている方でも、安全においしくお召し上がりいただけます。
これらの食形態は、同一の献立を横並びでご利用でき、行事食や麺類などにも対応しておりますので、食形態に合わせた献立にお悩みいただくこともありません。
低栄養の予防に役立つMCTオイルを使用
介護の食事問題のひとつでもある低栄養状態ですが、ナリコマのクックチルでは、利用者さまにお食事をしっかりとお召し上がりいただく工夫だけでなく、低栄養そのものを防止するために「MCTオイル(日清オイリオ)」を使用しています。
MCTオイルは、体内でエネルギー源として役立ち、低栄養の改善にも注目が集まっている油です。ナリコマでは、ミキサー食やゼリー食にもMCTオイルを使用し、食の細い利用者さまのエネルギーアップにも働きかけています。
人を選ばない厨房運営
介護施設の食事の質が低下してしまう背景には、人材不足などの施設の環境にも原因があります。ナリコマのクックチルは、調理済みの食品のため、下処理などもなく、再加熱するだけで食事の提供が可能です。
盛り付けなども、方法が簡単にわかる動画をご用意しておりますので、調理経験の有無を問わず簡単に行うことができます。人を選ばない厨房運営によって、安定した食事提供はもちろん、業務効率化や人材不足の改善も期待できるでしょう。
まとめ
老人ホームの食事がまずいと言われてしまう背景には、介護施設の抱える負担も含め、さまざまな原因が隠れています。一生懸命に提供した食事に不満や文句が集まれば、介護する側のモチベーション低下にもつながってしまうでしょう。
お食事の味にお悩みを抱えている介護施設さまはぜひ一度、ナリコマへご相談くださいませ。一緒に食事のお悩みを解決していきましょう。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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