安全・安心・おいしい食事であることが求められる病院給食。HACCPの理念に基づいた衛生管理を行う院外調理品(クックチル)の導入によって、衛生管理の強化と品質の高い食事を同時に叶えることができます。
さらに人材不足の解消やコスト効率の向上、衛生管理に関するスタッフ教育までもフォローが可能です。病院給食に院外調理品(クックチル)を使うメリットについて詳しく紹介していきます。
目次
給食に求められる衛生管理とは
病院給食は患者さんの病状回復をサポートするために欠かせないものです。食事を通して健康回復に繋げていくために、病院給食は治療の一環としても重要な役割を担っており、個々の病状に合わせた食事形態や、栄養バランスの取れたものであることが望まれます。
また、入院中の患者さんには、疾病により免疫力が低下している方も多く、ノロウイルス、カンピロバクター、病原性大腸菌などの食中毒や、感染症にかかりやすくなってしまうため、感染リスクを最小限に抑えなくてはなりません。
2021年6月より、すべての食品関連事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されることとなり、病院給食は厳しい管理体制が必要とされています。
HACCPとは、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理・制御)、Point(点)のそれぞれの頭文字をとったものです。 また、HACCPを効果的に機能させるためには、下記の「一般的衛生管理プログラム」の実施が必要となります。
食品取扱者の衛生管理
調理作業者の体調不良など作業前の健康状態、手荒れや傷、爪の長さのチェック
施設・設備の衛生管理
調理施設の整理整頓や清掃を行い、常に清潔な状態をキープ
器具等の衛生管理
肉類・魚介類・野菜類など、用途別の器具を使用し、洗浄後に殺菌を行う
使用水の管理
食品製造用水が安全であるか、蛇口から出る水の状態を確認する
食品等の取扱い
期限切れや劣化したものがないか、食品の品質のチェック
交差汚染・二次汚染防止対策
検食の実施
原材料・調理済み食品を食品ごとに約50gずつ保存
日時が分かるように-20℃以下で2週間以上保存
廃棄物・排水の取扱い
廃棄物は施設や各自治体の指示に従った分別を行う
そ族・昆虫対策
二次汚染を防ぐため、有害生物の侵入や発生の防止
安全・安心な品質の食事を提供するには、このようにたくさんのルールに沿った運用が求められるのです。
衛生管理に院外調理品(クックチル)を使用するメリットとは
病院給食には、病院内の調理施設にて原材料の発注から調理、配膳や食器や器具の洗浄など、食事提供に関わるすべてを行う「院内調理」と、委託業者による外部の調理施設にて調理された物を加熱処理し、冷却後にチルド保存された物が配送される「院外調理」の2通りの提供方法があります。
異物混入や食中毒のリスクを低減
院外調理を導入することで原材料の仕入れや廃棄などの管理を行う必要がなくなるほか、提供する食品は厳格な温度管理の元で調理され、人の手が触れることを極力減らしているため、食中毒のリスクも抑えられます。
また、ナリコマのクックチルでは、機械と目視による二重のチェックを行っていますので、異物混入の心配もありません。
院外調理品を使用することで衛生管理がしやすくなり、食中毒や感染症のリスクも大きく減らすことが可能となります。病院給食の安全安心な食事の提供には、院外調理品がおすすめなのです。
衛生管理以外のメリット
院外調理品を使用するメリットは、衛生管理についてだけではありません。
ここではナリコマのクックチルによるメリットを例にご紹介していきます。
安定した品質の食事が提供できる
院外調理品は最新の調理技術によって、食材の栄養価や風味を最大限に引き出すことが可能です。また、大量に調理することで安定した品質の食事を提供できます。
コスト削減
2017年に厚生労働省より発表された「入院時の食事療養に係る給付に関する調査結果」によると、給食部門は多くの病院で赤字となっています。
また、近年の原材料の高騰も相まって、人材確保が困難になっているのが現状です。
院内調理の場合、設備の維持と併せて人件費が大きくかかりますが、院外調理なら原材料の大量仕入れによって一食にかかるコストを少なくすることができます。
さらに、院外調理品は食事のタイミングで、温めて提供するだけの簡単な工程のため、準備や片付けにかかる時間が短縮可能です。
人手不足になってしまいがちな給食業務も、少ない人員で十分に対応できるようになります。
豊富なメニューが提供可能
病院給食は治療の一環であると共に、単調になってしまう入院生活の中の楽しみとなるものです。
病院食は味が薄い、いつも同じようなメニューといったマイナスイメージを持たれてしまいがちです。
ナリコマのクックチルには、入院期間が短い急性期・回復期病院向けの28日周期献立「やすらぎ」と365日日替わりの「すこやか」の2種類があります。管理栄養士が毎食の栄養バランスを管理しながら、美味しさと見た目の美しさにもこだわって作られているため、健康的で飽きのこない食事を提供することができます。
セントラルキッチンとは
大量の調理を、安定して製造するための工場を「セントラルキッチン」と言います。ナリコマでは、病院や介護施設へお届けする多品種の食事を製造しています。
ナリコマが持つ全国6ヵ所のセントラルキッチンでは、全国に対応しています(北海道・沖縄を除く)。災害などで一時的にいずれかのセントラルキッチンにて製造が停止してしまった場合、他のキッチンによるフォロー体制も十分に整えられていますす。
セントラルキッチンでは食材に合わせた加熱殺菌処理(食材は中心温度75℃で1分以上、ノロウイルスの恐れのあるものは中心温度85〜90℃で90秒以上加熱)を行い、個別包装後チルド保存(90分以内に中心温度を3℃まで冷却)しています。
また、ICTと最新技術を活用し、製造工程の自動化から生産効率向上を実現。コスト削減で生まれた余剰は、生産体制のさらなる効率化やオリジナルシステムの開発などに還元しています。
衛生管理を現場スタッフに教育するには
衛生管理の徹底が必要不可欠な病院給食にとって、現場スタッフへの周知や教育は大変重要ですが、新たにマニュアルの作成には労力も時間もかかってしまいます。
ナリコマでは厨房の衛生管理をはじめ、各種業務のマニュアルをオリジナルシステム内に完備していますので、必要な時にすぐ確認することができます。
また、ナリコマ独自の充実したコンテンツで、事前に厨房機器の取り扱いなどの業務フローが確認できるため、現場スタッフへの教育も効率的に行うことができます。
実際に現場で体験して学ぶことが主体であった新規雇用者の教育においても、現場に出る前に業務の流れを学べるので、即活躍できる人材として業務に携わることができます。
帳票管理アプリや発注システムで作業を効率的に
ナリコマでは現場教育だけでなく、日々の業務も効率的に進行できるように充実したコンテンツを提供しています。
ウェイトの大きな発注作業においても、効率的に行えるよう発注元を一本化したシステムを採用していますので、商品によって発注先やシステムの変更を行う必要がありません。
発注漏れなどの不備があった場合には通知があり、発注ミスを事前に防ぐための工夫もされています。
また、到着時の検品も商品コードをスキャンするだけの簡単作業で、発注から検品業務の効率化がなされています。
院外調理(クックチル)で衛生管理も業務の効率化も叶えよう
病院給食に院外調理品(クックチル)を導入することで、徹底した衛生管理はもちろんのこと、効率的に業務を進めることが可能となります。人材不足の解消や多くのメリットがありますので、委託先をお考えの際にはナリコマのクックチルをぜひご検討下さい。
ナリコマのクックチルなら、導入時にも充実のサポート体制でスタッフ教育や毎日の業務も手厚く支援いたします。
無料相談も行っておりますので、まずはこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
クックチルに関する記事一覧
-
クックチルで衛生管理ができるって本当?食中毒の予防はできる?
病院や福祉施設の給食で、「食中毒」は注意が必要な問題です。食品の調理や保存など、患者さまや利用者さまに提供するまでには、さまざまな衛生管理に気を付けることが大切です。クックチルは、こうした食中毒の予防に役立つメリットがあります。安心して食べられる食事の提供だけでなく、コストカットや業務効率化など、その他のデメリットの解消にも役立ちますので、ぜひご参考ください。
-
毎日の介護食作りがクックチルで楽に!導入施設が実感したこととは?
介護食作りは、病院や介護施設の厨房業務の悩みとしてよく挙げられています。介護食作りそのものが大変であることとあわせて、近年の人材不足の悩みは委託給食にしても簡単には解決できないものとなっています。また、ミキサー食などの形を変えるうえで、栄養価が下がる、まずいと言われる、といった事柄も悩みの要因です。
今回は、大変さを極める介護食作りにおいて、クックチルによって簡単においしい食事を提供できることや、ナリコマのクックチルを導入した施設さまのお声をあわせてお届けします。 -
クックチルとニュークックチルの違いは?メリットデメリットを解説!
入院患者を受け入れる医療施設、高齢者をサポートする介護施設などでは、毎日何かしらの食事を提供しています。提供方法はいろいろありますが、今回取り上げるのはクックチルとニュークックチル。この二つは医療施設や介護施設の給食現場などで重宝されている業務用の調理システムです。
本記事ではクックチルとニュークックチルの違いがわかるよう、メリットやデメリットを解説。ニュークックチルシステムの導入時に欠かせない再加熱機器(再加熱カート、リヒート)についても、詳しくお伝えします。
セントラルキッチンに関する記事一覧
-
セントラルキッチンでのお仕事内容!どんな人に向いている?
近年、セントラルキッチンは病院や介護施設をはじめ、さまざまな施設や店舗で導入が進んでいます。では、セントラルキッチンとはどのようなシステムなのでしょうか?今回の記事は、幅広い業界で重宝されているセントラルキッチンについて詳しく取り上げます。
セントラルキッチンの基本的な仕組みはもちろん、仕事内容や向いている人のポイントなども解説。システムの導入を検討中の方だけでなく、セントラルキッチンで働いてみたいとお考えの方もぜひ最後までお読みください。 -
セントラルキッチンでクックチルを製造!おいしさの理由とは
セントラルキッチンは、今や飲食関連の業務に欠かせない存在となっています。導入先は飲食店やスーパーマーケット、入院設備のある病院、介護施設など多種多様。今回の記事は、そんなセントラルキッチンのシステムについてお届けします。
セントラルキッチンの仕組みと特長だけでなく、そこで調理されるクックチルに関しても詳しく解説。近年注目を浴びているセントラルキッチンの魅力をお伝えします。ぜひ最後までお読みいただき、導入のご参考になさってください。 -
給食管理システムを選ぶコツ!病院や介護施設におすすめ
病院で給食を口にするのは、主に病気やケガで入院中の方々です。そのため、病院における栄養管理には大きな役割があります。少しでも早く回復するためには、投薬などの治療やリハビリに加え、栄養バランスのとれた食事が欠かせないでしょう。
ただ、栄養管理は病院に限らず、介護施設や保育園などでも重要な業務です。本記事は、さまざまな施設で欠かせない給食の栄養管理に注目。現場で重宝される給食管理システムの詳細、給食業務に携わる栄養士・管理栄養士が重視するポイントなどをまとめてお伝えします。ぜひ、システム導入のご参考になさってください。