代表

介護食開発における苦難

ナリコマホールディングス 代表取締役社長 竹内です。

今回は、第九回の社史シリーズ「介護食開発にかける私の思い」に引き続き、「介護食開発における苦難」についてお伝えさせて頂ければと思います。

「介護食開発における苦難」について、今回改めて振返っていたのですが、当社の介護食の開発は手探りでやって来ていたので、
どこかのタイミングで大きな壁にぶち当たったというより、人間の成長と同じようなイメージで、よちよち歩きで何も分からないけど歩き回って、5年、6年経つとだんだん出来ることも増えて来て、10年、15年経ってきて、今はなんとなく一人前のことが出来るようになってきたかな、と感じています。

というのも、当社の介護食は世の中にある介護食を目指して開発をして来たわけではなく、「お食事を通じて ご高齢者の皆さまに生きる喜びを」という企業理念のもと、ご利用者様に心から満足していただくため、それぞれの方が持っている噛む力、飲み込む力に合わせ、より良いものを提供したいという思いで改良し続けてきました。
そして、その思いの延長で開発に至ったのが、当社の介護食の中で特徴的な「ソフト食」であり、思い入れのある商品でもあります。

「ソフト食」が開発される前は、一口大でのお食事が難しい方には、包丁で細かく刻んだり、フードプロセッサーにかけて細かくして提供していました。
ただ、人手が限られている厨房業務においては作業負荷が大きく、細かく刻んだお食事は、介助される方にとって大変介助し辛かったりします。
細かく刻む為、食べ物が口の中でまとまりを持たなくなり、飲み込む能力の低い方にとっては、気管に食べ物を詰まらせるなど、誤嚥の危険性につながることもあります。

ナリコマの「ソフト食」は、安心安全なことは勿論、食材の持っている素材の美味しさが感じてもらえる様に、家庭で食べている様なやさしい味、濃い調味料ではなく、お出汁を利かせた風味や香りを活かしたお食事になっています。
どの食形態であっても、外出することが困難なご利用者様にお食事を通して季節感や家庭のぬくもりを感じてもらえる様に、色どりやバランスを考えた献立で提供させて頂いています。

お客様からのニーズも高まっており、当社の介護食生産数は年々増加しておりますが、私はまだまだ改良が必要であると感じています。
例えば、ミキサー食であれば、来年には最新鋭の設備導入を予定しています。通常ミキサーは、水やお出汁を加えなければ回すことができず、同一量における栄養価は低下してしまいます。
しかし、今回導入する最新の機械は、撹拌ではなくカットすることで、ミキサーで発生する高度付着性といった粘りを減少させ、学会基準に沿った商品が製造でき、より栄養価の高い商品が提供できる予定にしています。

新たな機械を導入することは、大きな初期投資が必要にはなりますが、より良い商品をご提供するための設備投資は、引き続き積極的に行っていきたいと考えています。

今回は「介護食開発の苦難」についてお伝えしてきましたが、次回は、介護食の増産にあたり設立した「神戸セントラルキッチンの立上げ」についてお伝えしたいと思います。

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