今回はナリコマ社長対談と称し、竹内美夫氏、竹内克成氏のお二人にお話しいただきました。前編は、今後引き継がれていくナリコマの文化と、社長のポジションから見える課題について。大切にしたいベースの考えや、スピードとコミュニケーションのバランスをどう取るかなど、「今」のナリコマについて社長の視点からはどう見えるのでしょうか。
引き継がれていく、ナリコマの文化
―スピード感はある。あとは先見性を組織で体現できれば(克成氏)
美夫:ナリコマの皆さんには、人を大切にするという気持ち、同じ仲間として幸せにしてあげようという気持ちがあってほしいですね。お食事を召し上がる方や、お年寄りに対してもベースの気持ちは変えずにいてほしいと思っています。
克成:そのような気持ちがベースにあるからこそ、ナリコマにはお客さまに良いものを届けたいという向上心や、新しいことにチャレンジする文化がすごくありますよね。会長(美夫氏)が一線を退かれた時に、この文化は私もちゃんと受け継いで、常に失敗を恐れず新しいことにチャレンジしてお客さまやご高齢者の皆さまに喜ばれる製品やサービスにつなげていきたいと考えています。
美夫:少しでも厨房スタッフの皆さんが、汗水を流さず、長時間労働をしなくても良いサービスができる、そういう新しい仕組みを創出していくことがわれわれには求められています。厨房の業務は大変な仕事で、こうして言うは易いけれど、実現するのはなかなか大変なことです。
克成:そうですね。私も現場にいた頃は仕事でミスした人が精神的負担を感じるのを、作業の改善や仕組みを変えることで防止したいと常に考えていました。たとえば、検品一つにしても昔はアナログでしたが、スキャナーを入れることで労働負担やヒューマンエラーが減りますよね。改善後はパートさんから「ミスが減った」「分かりやすくなった」と喜んでいただけて、すごく嬉しかったですね。
美夫:改善し続けることはすごく苦労は多いとはいえ、価値があるものです。だからこそデジタル系での管理をしっかりやっていかないといけませんね。
克成:会長の先見性は従業員の皆さんにも感じ取ってもらえているのですが、それは結局会長に紐づいているので。ナリコマの文化は、走りながら考えブラッシュアップしていくこと。考えて100点じゃないとやりませんっていうのではなく、60点70点でもいいからまずはスタートさせて徐々に100点に向けてブラッシュアップしていく文化です。スピード感は持っている。あとは、会長が持つ先見性を、組織で体現できればと考えています。
社長視点から見た、組織の課題
―苦しさも楽しいものです。社長業って、そういうものですよ(美夫氏)
美夫:課題に対しては、複合的な対応策が必要とされるのではないかと思います。克成さんは、今どのような課題を感じていますか?
克成:私が捉えている課題はコミュニケーションですね。会社が成長してお客様が増え、従業員が増え、組織がどんどん大きくなる中で、会社の思いや考え方や方向性も含めて、皆さんに広く深く浸透しているかというとそうは言えないと感じる時があります。厨房になると距離もありますし。今デジタルでさまざまな情報を発信していますが、それだけでは十分ではないと思いますね。会社の上層部と従業員の皆さんとの距離感を埋めるコミュニケーションをどうにか取れないものかと考えています。
美夫:なるほど、従業員同士のコミュニケーション。
克成:コロナもあったので、特にその辺は課題です。それぞれの管理職がもう一段階下がってコミュニケーションを取っていかないと、と感じているのと同時に私自身もその点は不足しているので自分自身にも言い聞かせています。デジタルを活用することは、会社の思いや方向性を知っていただく機会として、遠隔地の皆さんにもお届けできるのですごく良いと思うんです。ただ、それだけで100%じゃなく、プラスアルファでリアルのコミュニケーションも必要ですよね。
美夫:課題に対して、抜本的に良い解決策がすぐに見つかるというものではないので、ぜひ試行錯誤しながら前に進んで行きましょう。そして、社内はもちろん、社会的な課題にもナリコマは立ち向かっていかないといけませんね。社会の厳しい状況の中で、良いサービスをしっかり実現していかないといけないのだけど、この円安と物価高。すごく重い課題ですが、だからこそやりがいがあるのかなと。大変な局面に直面しているし、そういう時代に生きている者として、内と外の両面で何らかの形で貢献できる会社でありたいですね。
克成:そうですね。ただ、組織が大きいが故に機動力、スピード感がどうしても落ちてしまっているのをもう一つの課題として感じています。すぐに取り掛かってくださいと言いたい自分もいるんですが、ちょっと待てよと。その辺皆さんがバランスを取ってやっているから、迂闊にすぐやれとは言えない自分もいて。いきなりガラッと変えると色々と歪みが生じるかもしれず、少しずつあるべき・ありたい姿に変えていきたいと思っています。
美夫:さまざまな課題がありますね。だけど苦しさも楽しいものです。私はウォーキングなんかもよくしますが、終わったら爽やかなかんじがする、それに近いですね。社長業って、そういうものですよ。
【後編】へ続く。