代表

創業期~セントラルキッチンの立上げ

ナリコマホールディングス 代表取締役社長 竹内です。

前回までは、今の当社の取り組みや、私の考えについて話をさせていただきました。
今回より、創業時を振り返り、当社がどの様な変遷を辿ってきたのか、どの様な思いで決断し、今に至るのかをお伝えすることで、創業以来「ナリコマが大事にしてきたもの」を次世代に継承していきたいと考えています。

さて、当社の原点は、ホームページの沿革(※1)にも記載している通り、今は亡き父が大阪市東成区でお店の軒先を借り大衆食堂をはじめたことになります。

当時は戦後間もなくで、私は幼く食べていくもことも大変な時代でした。
私は田舎の祖父母と暮らしていたのですが、祖父母も大変な状況にも関わらず、愛情深く育ててもらいました。父は家族を養う為、「人の三倍は働いた」と言うくらい必死に働いていたのですが、近所で一番早く店先に電話機を置いたり、テレビを置いたり、大変な時でも新しいことを取り入れたり、チャレンジ精神が溢れている人でした。

祖父母に大切に育てられたこと、大変な時代にも必死に働き、挑戦し続ける父の背中を見て育ってきたことは、「日本の復興を支えてくださった高齢者に、おいしい食事を召し上がっていただきたい」という私の起業の思いに繋がっています。当社の事業を経営していく上で大きな影響がある環境でした。

お弁当屋さんをやり始めた頃、私も手伝うようになったのですが、高度経済成長過程の求人難の時代で、父、私、従業員とパート数名で細々とやっていました。朝4時位に起きて、調理して、盛付して、お弁当を詰め終わったら、私が中小企業の工場に営業に行き、朝から晩まで必死に働きました。
徐々に売上げもあがり、新工場を拡大させていく中で、経営方針で父とぶつかり合うことがあり、自分で仕出し屋さんを経営することもありました。しかし過労で病気になり、心配した父に家業に連れ戻されてしまいました。

その際に、父から北摂地域のお弁当屋さんをやってみないか?と任されたのですが、ここが転機となりました。

約5年ほどして事業が軌道に乗ってきたころ、取引先の幼稚園の理事長から、「高齢者施設も経営しているんだけど、厨房運営にすごく困っていて、お食事サービスをやってくれないか」と依頼されたのです。
正直にお伝えすると、最初は「勘弁してください」と断りました。今でも人手不足で大変なのに、高齢者施設となると、365日3食のお食事となる訳ですから。

しかし、その頃の高齢者施設は今と異なり予算も潤沢にあり、うまく運営出来れば、お客様のお役に立てることは見えていました。また、高齢者の増加により全国に施設が増えていくことは確信していたので、今業界に参入すれば大きなシェアを握ることが出来る・・そう判断し、ご依頼をお受けすることを決意しました。

当社の高齢者向け委託給食サービスの始まりです。

しかし、やってみると、想像以上に大変でした。
今当社には「標準献立」という取引施設様に共通する基準となる献立がありますが、当時は施設栄養士が作成された献立に応じて、施設ごとに発注、調理するという運用が中心のため、属人的でとても煩雑になり、大変苦労しました。10施設ほど受託した頃、「これではどこまでいっても安定した運営はできない」と、かつて無い危機感を感じたことを憶えています。

また、同じ献立で提供できたとしても、調理師のレベルも異なり、ある施設では、「すごく美味しかった」と言われているのに、別の施設では「まずかった」と言われ、安定した評価を得ることができない状況でした。

限られた予算、人員で良い商品、良いサービスを実現するためには、企業としてノウハウをしっかりと確立しなければならない。集中した工場で一定程度のクオリティに仕上げてお届けする仕組みを作り上げなければ限界であると考え、今のセントラルキッチンの仕組みに舵をきりました。

当時、セントラルキッチンの仕組みは業界でも大変めずらしく、お客様の中には、当社のやり方をご理解いただけず解約に至ったり、クオリティに対してご意見を頂くことも沢山ありました。
しかし、高齢者福祉施設は比較的小さい施設が多い為、限られた予算内で良いサービスを実現することが必要です。職人の技術に頼ることなく、安定した美味しい食事を提供するために、この仕組みがお客様のお役に立つのだ、と強い信念のもと、段階的にお客様のご理解を得て、今の基盤をつくることが出来ました。

さて、長文となりましたが、今回は起業からセントラルキッチン方式という弊社の大きな転機までをお話させていただきました。
次回は、セントラルキッチン導入後、当社のメイン事業であった委託給食サービスから、物販サービスに事業を転換し、急成長を遂げた背景や、介護食開発にかける私の思いについてお伝えさせていただきたいと思います。

※1:沿革HPリンク
https://www.narikoma-group.co.jp/overview/philosophy.html

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