代表

介護食開発にかける私の思い

ナリコマホールディングス 代表取締役社長 竹内です。

今回は、第七回の社史シリーズ「クックチルシステム導入後の苦難、商品力・サービス力で実現した物販サービス」に引き続き、「介護食開発にかける私の思い」についてお伝えさせて頂ければと思います。

「日本の成長を支えてこられたご高齢者の皆さまに、美味しくて季節感のあるお食事で、食べる喜び、生きる喜びを感じていただきたい」
この想いが、私たちナリコマの原点です。

給食業界に参入した頃の介護食は、お食事全てをミキサーにかけ、栄養価という観点では目的は満たされているけれど、「何を食べているのか分からない」というものが提供されており、初めて見た時、私は大変ショックを受けました。

嚙む力や飲み込む力の弱くなったご高齢者の方にとって、安全なお食事提供は不可欠です。
限られた人数、限られた時間で提供している中で、介護食の見た目は二の次とされていましたが、当社では「お食事の楽しみ」を重視し、お召し上がりになられる方の身体能力にあわせ、個別対応をする際にも、お食事ごとに分けてミキサーにかけ彩りに配慮しながら提供していました。

しかし個別対応は、施設ごとの作業負担が大きく「厨房運営が回らない」という状況に多くの厨房が陥り、大きな課題となっていました。
お客様の声、現場の厨房スタッフの声、そして何より私自身の創業時からの思いを実現する為「高齢者食に専門特化しているナリコマが、この様な状況を見過ごすことはできない!当社のセントラルキッチンで、できる限りのことをやろう!」と奮起し、介護食の開発を決断したのです。

それからは悪戦苦闘の日々でした。お客様からのご意見に向き合い、改善改良し続け、一歩一歩商品のラインナップを増やして進めていきました。
当初は今のような365日献立が実現できるとは到底思っておらず、介護食は短いサイクルの献立で提供することも検討しました。

しかし、一つの机を囲んでお食事をお召し上がりになっている際に、隣の普通食の方は毎日献立が違うのに、介護食になると似たようなお食事ばかり・・・というのは、当社の目指すお食事ではないと考え、お客様・厨房スタッフ・製造部門が協同し、長年の年月を経て、ナリコマ独自の介護食の形を作り上げることができました。

今回の介護食開発プロジェクトは、お食事をお召し上がりになられるお客様のことを思い、私の強い思いで推進してきたのですが、その時の決断、そして成し遂げることを諦めなかった現場の努力により、365日4形態(普通食・ミキサー食・ゼリー食・ソフト食)献立という、ナリコマの大きな強みとして築き上げることができました。

「とりあえず、やってみよう!」というチャレンジ精神は、私だけでなく、社内にも根付いている文化であり、ナリコマの良いところの一つだと感じています。
やってみなければ分からない、失敗して気づくこともある、そしてそれが成功の一歩だと考えています。社歴や年齢に問わずチャレンジできる風土をこれからも大切にしていきたい、そう考えています。

さて、今回は「介護食開発にかける私の思い」についてお伝えさせて頂きましたが、次回は「介護食開発における苦難」をお伝えしたいと思います。

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