ナリコマホールディングス 代表取締役社長 竹内です。
今回は、第10回の社史シリーズ「介護食開発における苦難」に引き続き、「介護食生産強化~神戸セントラルキッチンの立上げ~」についてお伝えさせて頂ければと思います。
増加するお客様からの需要に対し、既存の5つのセントラルキッチン(以下CK)に加え、生産力のさらなる強化、そして今後増え続ける介護食へのご要望に応えるため、大きなチャレンジとして最大級CKの立ち上げを決めました。
2022年1月、「介護食専門」×「オートメーション化」×「品質強化」をテーマに、神戸市西区に当社初の介護食専門工場として神戸CKを竣工いたしました。
これまでもお伝えしてきた通り、介護食は非常に手間暇がかかるものです。
その為、食材費が高騰し、人件費が増加する中で、手間暇かかる介護食を普通食と変わらない価格帯で提供し続けることは、今までと同じやり方では不可能ですが、限られた資源の中で製造する方法を限界まで追求するということは、「高齢者の方にお食事を通して生きる喜びを」理念とする私たちにとって、使命であると考えてきました。
しかし、当社が提供するのは、365日朝昼晩3食の食事を、普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4形態で提供しています。
日々変化する食材の品質にも対応しながら、様々なアイテムの製造調理を行うナリコマの生産体制は複雑なもので、さらに人手を多く要します。
昨今の人手不足においては、既存CKで積極的に行っているオートメーション化も、普通食と介護食を併存させながら・・となると、非常に困難です。
この様な背景から、介護食に特化した工程をフルオートメーション化する形で工場を立ち上げる方向に、大きく舵を取る決断をしたのです。
当社独特の課題に対し、機械メーカーの方からは「前例がないので、うちではできない」と言われたこともありましたが、有難いことに「一緒にやってみましょう」と仰って頂ける技術者の方と出会うことができ、試行錯誤しながら、製造工程をできる限りシンプルにすることで、オートメーション化が実現できるようになったのです。
その結果、これまで既存CKに分散させていた介護食の製造を一拠点に集約させ、工程の数値管理がより緻密になり、フードロスという観点においても数年前と比較して大きく改善することができました。
今後、より一層人手不足が予想される中で増加し続ける需要に応える為、経験が豊富なベテランしかできない、力のある若い人しかできない、ではなくシニアの方でも女性でも対応できる生産体制が必要とされていきます。
これは当社だけでなく日本社会全体の課題であり、労働集約型と言われる介護食業界において、この神戸CKの実現は大きな一歩となったと感じています。
当社においては、今後も介護食製造に特化した最新鋭の設備投資も予定しており、学会基準に添った高い栄養価と、おいしさ・食感を両立し、より一層喜んで頂けるお食事のご提供を引き続き実現してまいります。
今回は「介護食生産強化~神戸セントラルキッチンの立上げ~」についてお伝えしてきました。
次回は「今後の事業の方向性について」私の考えをお伝えしたいと思います。